2013年11月7日、まだ語学研修中だった頃、ひとりでイラス火山国立公園へ向かった。バスの中でドイツ人の旅行者と片言のスペイン語で話しているうちに友達になり、結局この日は彼女と一緒に山頂を目指すことになった。
コスタリカの紋章に描かれた火山
イラス火山はコスタリカ中部に位置する標高3,432メートルの活火山で、コスタリカの国章にも描かれている。観光客が目当てにするのは、火口に湛えられたエメラルドグリーンの火口湖だ。ガイドブックにも載っているし、インターネットで検索しても息をのむような色の写真が出てくる。それを見て、行かないわけにはいかなかった。
首都サンホセからバスで約2時間。頂上付近は空気が薄く、平地に慣れた体には軽く頭が痛くなるくらいだった。
なにもありませんでした
頂上はだだっ広い野原と噴火口が広がるシンプルな景色だった。足早に噴火口を覗き込んで、お目当ての火口湖を探した。
なにもありませんでした。
乾いた岩肌と、わずかな赤茶色のぬかるみがあるだけ。あのエメラルドグリーンの湖は、どこにも見当たらなかった。ここまで来るのに片道2時間、がっかり感は半端なかった。
「あの写真はPhotoshopだろう」
バスで一緒になったドイツ人の友人に話すと、一言こう言われた。
「あの写真はPhotoshopを使って作ったんだろう」
彼女は大使館勤務で、スペイン語もペラペラだった。その断言の仕方が妙に説得力を持っていた。
宿のオーナーに事の顛末を話すと、今度はこう返ってきた。
「ぼくは3回行ってるけど、一度も見たことがないよ。jajaja」
地球の歩き方に載っていた交通費も実際の2倍だったし、この日はガイドブックと現実の乖離を体感した日でもあった。火口湖は見られなかったが、友達は増えた。まあ、それで良しとした。
「見られなかった」を笑い話にできるのは、それも旅のうちだからだ。イラス火山は曇りや乾季の時期によって火口湖が現れたり消えたりするらしい。
次に行くときは時期を選ぶことにする——たぶん。
旅行ガイド(一般情報)
※本セクションは公開情報をもとに編集者が補足したものです。最新の入山規制・天候は公式サイト・SNACでご確認ください。
イラス火山国立公園
- 場所: カルタゴ州、サンホセから車で約1.5〜2時間。標高3,432m、コスタリカ最高峰の火山
- 火口湖: 主火口に水が溜まると緑〜青色の湖になる。季節と火山活動で水位が大きく変わり、無いこともある
- 見学: 駐車場から主火口・ディエゴ火口の展望台まで遊歩道あり、片道15〜20分
- 営業時間: 8:00〜15:30(最終入園14:30)、月曜休園あり。料金は変動あり、要事前確認
天候と時期の選び方
- 朝が勝負: 午前9〜11時頃が最も視界が開けやすい。午後は雲が湧きやすい
- 乾季(12〜4月)がベター、雨季は霧で何も見えないリスクが高い
- 標高による寒さ: 山頂は10℃前後まで下がる、防寒着推奨(フリース・薄手ジャケット)
- 火山ガス: 活動が活発な時期は SO₂ 濃度上昇で入山規制になることがある
アクセス
- 公共交通: 土日のみサンホセ発の直行バス運行(San José → Cartago → Volcán Irazú)。料金は変動あり
- レンタカー: 自由度が高い、霧で運転視界が落ちる時間帯に注意
- ツアー: サンホセ発の半日ツアーが多数、ガイド付きで天候情報も入手しやすい