旅先でスーパーマーケットに寄るのが好きだ。観光地の土産物店よりも、その国の暮らしがそのまま棚に並んでいるからだ。サントドミンゴでの滞在の合間、ショッピングモール「プラサ・セントラル」の中にあるスーパー「ナシオナル(Supermercado Nacional)」を覗いてきた。ドミニカ共和国を代表するスーパーチェーンのひとつで、売り場は広く、品揃えは高級寄り。結論から言うと、お土産はここでほぼ全部そろった。
バタタとプラタノの山
青果売り場でまず足が止まった。バタタ(サツマイモの仲間)が、黄色・赤・白と何種類も山積みになっていて、黒板の手書きプレートに品種ごとの値段が書かれている。その隣には緑色のバナナ——プラタノ(調理用バナナ)の山。ドミニカの食卓の主役で、茹でて潰した「マングー」は国民的な朝食だ。ユカ(キャッサバ)やニャメ(ヤムイモ)も並んでいて、根菜とプラタノがこの国の炭水化物の骨格なのだと、棚を見るだけで分かる。
パプリカや唐辛子——スペイン語でまとめてアヒー(ají)と呼ばれる——の棚も色の洪水で、カメラを向けずにはいられなかった。ドミニカ料理は意外と辛くなく、これらは煮込みの香味野菜として使われることが多いという。
プレシデンテの通路
酒売り場は一本の長い通路になっていて、左側にビール、右側にワインが延々と続く。ビール棚の主役は緑のボトルの「プレシデンテ」。ドミニカの国民的ビールで、街のコルマド(小さな売店)でもレストランでも、とにかくどこでも見かけた。黒ラベルの「プレシデンテ・ブラック」や、メキシコのモデロも並ぶ。ワイン棚にはスペイン・フランス・南米と産地別の札が下がっていて、「3x2(3本買うと1本無料)」のプロモーションが目立つあたりも現地らしい。
買ったもの——コーヒーとラムとお菓子
お土産に選んだのは三つ。まず「カフェ・サントドミンゴ(Café Santo Domingo)」。首都の名前を冠した、この国でいちばん親しまれている定番コーヒーだ。ドミニカ共和国は島の山地でコーヒーが育つ生産国でもあり、スーパーなら挽き済みの真空パックが手頃な値段で買える。それから、ばらまき用にお菓子をいくつか。そして最後が、ラム酒だ。
選んだのは「ブルガル・ドブレ・レセルバ(Brugal Doble Reserva)」。ブルガルは1888年創業、プエルト・プラタに本拠を置くドミニカを代表するラムのつくり手で、バルセロ、ベルムデスと並んでこの国の「三大ラム」に数えられる。ドブレ・レセルバはウイスキー樽とシェリー樽で熟成させた原酒をブレンドした一本で、ボトルを包む白い網はブルガルの伝統的な装いだ。ラムはニカラグアのフロール・デ・カーニャ以来のカリブ・中米つながりでもある。帰国後に開けるのが楽しみで、これはいずれお酒の記事として書きたい。
レジを済ませて外に出ると、両手の袋の中身は、石でも工芸品でもなく「この国の日常」だった。ソーナ・コロニアルの宝石店(前回)とはまた違う、スーパーという名の土産物店。旅先でどこか一軒だけ寄るなら、僕は迷わずスーパーを推す。
その国の台所を知りたければ、博物館より先にスーパーの棚を歩けばいい。
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旅行ガイド(一般情報)
※本セクションは公開情報をもとに編集者が補足したものです。最新は現地・公式情報で確認してください。
サントドミンゴのスーパー事情
- ナシオナル: 高級寄りの大手チェーン。プラサ・セントラル店のほか市内に多数。輸入品や土産向きの品が充実
- そのほかのチェーン: ジャンボ(Jumbo)、ラ・シレナ(La Sirena)など。よりローカル寄りの価格帯
- 支払い: 大手はクレジットカードが広く使える。市場やコルマドは現金が基本
スーパーで買えるお土産の定番
- コーヒー: カフェ・サントドミンゴが定番。挽き済み真空パックが軽くて配りやすい
- ラム: ブルガル、バルセロ、ベルムデスが三大ブランド。熟成クラスで価格が変わる
- チョコレート・菓子: ドミニカはカカオの産地でもあり、地元ブランドの板チョコも狙い目
- 持ち帰りの注意: 酒は預け荷物へ(機内持ち込みは液体制限あり)。免税範囲は日本の規定(酒類3本=2,280mlまで等)を確認