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友人がスコットランド出張のついでに買ってきてくれたのが、このハイランドパーク 12年(Highland Park 12 Year Old "Viking Honour")。家ではあまりピート寄りのモルトを開けないので、こういう機会でもなければ自分から買わない一本だ。せっかくなのでじっくり向き合ってみた。

ハイランドパークの蒸溜所があるのはオークニー諸島——スコットランド本土の北端からさらに海を渡った、北緯59度の島々だ。世界最北のスコッチウイスキー蒸溜所のひとつで、創業は1798年。島はかつてヴァイキングが支配し、現代でも住民の名字や地名にノルウェー由来のものが多く残る。ボトルラベルやブランディングがヴァイキングのモチーフで統一されているのは、単なる装飾ではなく土地の歴史そのものだ。

ハイランドパーク 12年
ハイランドパーク 12年「Viking Honour」。ラベルにヴァイキングの紋章。

ヘザーピートが作る、独特の香り

オークニーのピート(泥炭)はアイラのものとは違って、樹木がほとんど育たない島の植生——とくにヘザー(ヒース)由来の繊維で作られる。これを乾燥麦芽に焚き込むことで、アイラのヨード臭・薬品香とは異なる、もっと甘く、香木のような穏やかな煙香が乗る。ハイランドパーク独特のキャラクターはこのヘザーピートに大きく依存している。

12年は同社のスタンダードボトル。ラベル裏に「Spicy & Well-Rounded」と書かれている通り、ノーズはヒースハニー、軽いシトラス、シナモンとクローブのスパイス。口に含むとシェリー樽由来のドライフルーツ感が来て、奥にじんわりとピートの煙が残る。アイラほど主張しないので、ピート初心者にも勧めやすい。

ストレートでも崩れず、トワイスアップ(少量の常温水で割る)にすると香りが一段開く。ハイボールにすると個性が薄れるので、僕はもっぱらストレート派。

スコッチは産地の地理を飲むものだと言われる。アイラの海風、スペイサイドのリンゴ畑、ハイランドの山——そして、ハイランドパークが背負っているのはオークニーの島、ヴァイキングの記憶、ヘザーの咲く荒野だ。ボトルを開けるたびに、北緯59度の風景を借景している気分になる。

ハイランドパーク 背景情報

オークニー諸島とは

スコットランド本土の北、北海とノルウェー海の境にある約70の島々。中心都市カークウォール(Kirkwall)に蒸溜所がある。9世紀からノルウェー領、1468年にスコットランドに帰属。新石器時代の遺跡(スカラブレイ)も世界遺産。

創業と「Viking Soul」

1798年創業。創業者はマグナス・エウンソンというヴァイキングの末裔とされる人物。同社のキャッチコピー「The Viking Soul of Scotch Whisky」はそのままブランド哲学になっている。現在のオーナーはエドリントン・グループ(マッカランも保有)。

5つの製造哲学

同社は「Hand-Turned Floor Maltings(手作業のフロアモルティング)」「Aromatic Peat(ヘザーピート)」「Cool Maturation」「Sherry Oak Casks」「Cask Harmonisation」を5本柱として掲げ、現在も大半の麦芽を自社のフロアモルティングで作っている数少ない蒸溜所のひとつ。

ハイランドパーク 12年は日本国内でも比較的安定して流通している。Amazonでも入手可能。

参考リソース

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