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2026年のワールドカップが、米国・カナダ・メキシコの3カ国を舞台に始まりました。48チームが参加する史上最大の大会です。そのなかで一人の選手に視線が集まっています。リオネル・メッシ。6月16日、カンザスシティでアルジェリアと対戦する彼は38歳を超え、これがおそらく最後のW杯になります。

開幕式に並んだ、南の歌声

6月11日、メキシコシティのアステカ・スタジアムを満員にした開幕式には、シャキーラ、J・バルビン(コロンビア)、ダニー・オーシャン(ベネズエラ)、そしてメキシコのマナやライラ・ダウンズが並びました。北米開催の大会の幕開けに、南米とカリブの声がいくつも重なる。演出というより、この大陸の多様さをそのまま舞台に乗せたような顔ぶれでした。

10チームが映す、層の厚さ

今大会には中南米・カリブから10チームが出ます。アルゼンチン、ブラジル、コロンビア、エクアドル、メキシコ、パナマ、パラグアイ、ウルグアイ、ハイチ、キュラソー。なかでも目を引くのがキュラソーです。オランダ領カリブの小さな島で、人口は15万人ほど。その国が初めてW杯の舞台に立ち、6月14日にフィラデルフィアでドイツと向き合います。

「メッシ以前/以後」のアメリカ

メッシが2023年にインターマイアミへ移ってから、米国南部のサッカー文化は確かに変わりました。マイアミ近郊のユースアカデミーは受講者を6割増やし、アルゼンチン代表のユニフォームは、南米以外ではアメリカが最大の市場になったと言われます。2022年カタールでの優勝が伝説の仕上げだったとすれば、今大会はその余白を埋める時間です。

少しだけ僕の感じたことを書きます。中南米にいると、サッカーが暮らしのどこに置かれているかが肌でわかります。アルゼンチンは今も経済が厳しく、ミレイ政権下でインフレは収まりつつあっても、生活の苦しさを口にする人は多い。そのなかでW杯の熱は格別です。「世界一を守る」という一点が、政治への閉塞感を一時でも和らげる。サッカーがナショナリズムの安全弁になるこの構図は、この大陸の多くの国に共通しています。批判ではありません。そういうものとして根づいている、という話です。

北米三カ国という舞台で

ホストは米国・カナダ・メキシコ。トランプ政権とシェインバウム政権の緊張をはらんだ米墨関係のなかで、3カ国でこの大会を成功させること自体に政治的な意味があります。開幕式に南米・カリブ・アフリカの歌い手が並んだのも、外交的な気配りと無縁ではないでしょう。メッシがピッチを去るまで、この大陸のファンはもう一度だけ世界の頂を夢見ることを許されています。

ピッチを去る日まで、もう一度だけ頂上を夢見ることが許されている——その熱が、現実の重さを少しだけ軽くする。

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※ 本記事は公開情報をもとにした筆者の解説・私見です。最新の数字・日程・手続きは各国政府や一次情報でご確認ください。引用は最小限とし、出典を明記しています。