ハバナの街角にごみが積み上がっています。収集車は106台あるのに、動いているのは44台だけ。残りは燃料がなくて止まったままです。2026年2月に始まった米国の燃料封鎖は4ヶ月を超え、停電は毎日の景色になりました。乳幼児死亡率は9.9‰まで上がっています。数字の裏で起きているのは、ふつうの暮らしがじわじわ削られていく日々です。
ベネズエラの政変から始まった供給の断絶
発端は1月でした。米国がベネズエラで軍事作戦を実施し、マドゥロ大統領を拘束します。ベネズエラはキューバへ石油を送る主要な供給国でしたが、政権交代の混乱でその流れが途絶えました。続いて米国は2月から、キューバへ向かうタンカーへの封鎖措置を直接始めます。メキシコ国営のペメックスを含む供給ルートが次々に断たれ、抵抗する国には関税をかけると警告しました。国連人権高等弁務官事務所は2月の時点でキューバの経済危機に懸念を表明しましたが、封鎖は止まっていません。
食料も医薬品も6〜7割減った
数字が生活の崩れ方を物語ります。食料と医薬品の生産量は6〜7割落ち込み、小児がんの死亡率は35%に達したと報じられています。電力会社が供給できるのは1日わずか数時間。ガソリンスタンドは数ヶ月前から空のままです。
観光業も持ちこたえられませんでした。スペインの大手ホテルチェーン、イベロスターとメリアはそれぞれ十数軒の管理権を手放し、カナダ系のロイヤルトンはキューバから撤退しています。リゾートが売りだった島の経済は、土台から崩れかけています。
小さなデモが広がり始めた
6月に入り、ハバナ近郊を中心に市民のデモが起きました。人道状況の悪化に抗議する動きです。規模は小さく、当局がすぐ解散させていますが、武力衝突を追うACLEDは6月の月次報告でキューバ情勢を注視すべき動きに挙げました。ディアスカネル政権は「封鎖が原因だ」と繰り返しますが、国内では政府自身の経済運営への批判も増えています。
トランプ政権が掲げる「年内の政権交代」
トランプ政権は、キューバの政権交代を2026年中に達成すると公言しています。外交圧力、経済封鎖、観光の遮断。この三つで締め上げる構図です。ブラジルのルラ大統領は封鎖を非難し、キューバへの人道支援を訴えましたが、米国の方針は動いていません。封鎖という手段が正しいのかをめぐる議論が国際社会で続くあいだも、ハバナの停電と空のガソリンスタンドは変わらないままです。
電気も燃料もない街で市民が声を上げたとき、それを「成果」と呼ぶか「失敗」と呼ぶかは、見る側の立場で正反対に変わります。
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参考リンク
- 2026 Cuban crisis – Wikipedia — en.wikipedia.org
- 'We've Been Four Days Without Light': Cubans Describe Suffering After Four-Month US Oil Blockade – Common Dreams — commondreams.org
- Concerns over Cuba's deepening economic crisis – OHCHR — ohchr.org
- Latin America and the Caribbean Overview: June 2026 – ACLED — acleddata.com
- Is Cuba next? – Lowy Institute — lowyinstitute.org
※ 本記事は公開情報をもとにした筆者の解説・私見です。最新の数字・日程・手続きは各国政府や一次情報でご確認ください。引用は最小限とし、出典を明記しています。