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ハイチの暴力が、止まらない。国連人権高等弁務官事務所によれば、2024年初めから2025年末までにギャング絡みの暴力で1万1千人を超える人が死亡した。首都ポルトープランスの大半はギャングの支配下にあり、国家の機能はほとんど崩れている。

ケニア部隊の撤収

治安回復のため派遣されていたケニア主導の多国籍治安支援部隊は、2026年3月17日に最後の部隊が撤収した。装甲車などの装備も持ち帰られた。米国が後押しし、ケニアが人員を出したこの任務は、資金不足と人員不足に苦しみ、ギャングの勢いを止めきれなかった。

新たな「ギャング鎮圧部隊」

入れ替わりに、国連安全保障理事会が2025年10月に承認した新部隊「ギャング鎮圧部隊(GSF)」が2026年4月に展開を始めた。チャドの部隊が米国で訓練を受け、ケニア部隊を置き換えていく。最終的に約5,500人規模となり、ポルトープランスの国連事務所が武器・装備・資金を支える計画だ。移行は2026年10月まで続く見通しになっている。

政治の空白

暫定大統領評議会の任期は2026年2月7日に終わり、選挙へ向けた道筋が課題になっている。評議会は2025年12月に選挙令を承認し、2026年後半(8月と12月)の選挙を目指すとされる。だが治安が崩れたままで、自由な投票がどこまで可能かは見通せない。

ハイチの教訓は重い。外国の部隊を入れ替えても、警察・司法・行政という国家の骨格を立て直せなければ、空いた場所はまたギャングが埋める。治安の回復と、国家の再建と、選挙による正統性。この三つを同時に進めないかぎり、暴力の連鎖は断ち切れない。隣のカリブ・中南米にとっても他人事ではない。

部隊を入れ替えても、国家そのものを立て直せなければ、暴力は戻ってくる。

参考リンク

※ 本記事は公開情報をもとにした筆者の解説・私見です。最新の数字・日程・手続きは各国政府や一次情報でご確認ください。引用は最小限とし、出典を明記しています。