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タンゴはアルゼンチンの音楽です。生まれたのはブエノスアイレスの港町。それなのに、コロンビア第2の都市メデジンがこの音楽をしっかり自分のものにしてきました。6月8日から14日まで開かれている第20回メデジン国際タンゴ祭は、40を超えるイベントを無料中心で市内に広げています。観光のための催しではありません。1935年から続く一本の縁の上に立っています。

1935年6月、空港で起きたこと

アルゼンチン出身の歌手カルロス・ガルデルは、存命中から中南米じゅうで愛されていました。1935年6月24日、メデジンのオラジャ・エレーラ空港で、滑走路上の機体衝突事故が起きます。ガルデルはこの事故で命を落としました。亡くなったのは合わせて64人。

事故はメデジン市民の記憶に深く刻まれました。彼の死を悼む気持ちが、そのままタンゴへの愛着に変わっていきます。アルゼンチンから来た音楽を、コロンビアの街が弔い、引き取った。タンゴがこの土地に根を張った起点は、祝祭ではなく喪失でした。

暴力の街から文化の街へ

メデジンは1990年代、世界で最も暴力的な都市のひとつに数えられました。そこから市民教育、都市の再開発、文化への投資を重ねて街は姿を変えます。タンゴ祭は、その変化を象徴する催しとして国際的に名を知られるようになりました。

入場無料のコンサートや路上のパフォーマンスが市内のあちこちに散らばり、舞台の中心に立つのは地域の住民です。文化を通じて街が自分自身を語り直す。その実例として、メデジンのやり方はたびたび引き合いに出されます。

20回目が置かれた場所

今年で20回目です。コロンビアの文化産業としてのタンゴが、成熟した段階に入ったことの一つの目印になります。今年は事情が少し特別でした。6月21日には大統領の決選投票が控えています。政治の緊張が漂うなかでの開催です。

踊りと音楽、そしてアルゼンチン文化との連帯が、いつもの年とは違う重みを帯びる。ガルデルが墜ちた街で、彼の遺産がまた一週間、通りを満たしています。

他者の悲しみを引き受けたところから根付いた文化は、土地に深く食い込む。

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※ 本記事は公開情報をもとにした筆者の解説・私見です。最新の数字・日程・手続きは各国政府や一次情報でご確認ください。引用は最小限とし、出典を明記しています。