← 中南米ニュースに戻る

メキシコ中央銀行(バンシコ)は5月7日の政策決定会合で、政策金利を0.25ポイント下げて6.50%とした。2022年4月以来の低水準である。決定は割れた。理事5人のうち賛成は3人、残り2人は据え置きを主張した。声明には、現行の水準を維持することが今後も適切となる可能性が高い、とも書き込まれた。2024年3月に始まった緩和サイクルは、これで事実上の終わりを迎えたとみられる。

利下げの背景にある景気の悩み

バンシコを利下げに向かわせた最大の要因は、2026年第1四半期のGDPが前期比でマイナスに転じたことだ。景気が冷え込めば需要主導のインフレ圧力も弱まり、緩和の余地が生まれる。直近4月のインフレ率はヘッドラインが4.45%、コアが4.26%で、ともに前月から小幅に下がった。目標の3%まではまだ距離があるが、向きは下を指している。

一方でバンシコが繰り返し強調したのは、先行きの不確実性だ。米国とのあいだでUSMCAが機能していることはペソを支える材料になる。ただ、米国側の関税政策や地政学的な混乱が続くなか、輸出に頼るメキシコ経済は読めない変数を多く抱える。バンシコはインフレが目標へ収束する時期を2027年第2四半期と見込んでいる。

最後の一手をどう読むか

6.50%という金利は、インフレ率4.45%に対してなお実質で2ポイントほどプラスを保つ。据え置きを唱えた理事2人は、この実質金利の余裕をいま手放したくなかったのだろう。実質金利が高ければ海外からの資金が入りやすく、ペソの安定にもつながる。

経済の余地と自国通貨を守りながら、緩和の終わりをどう着地させるか。コロンビアもチリも同じ課題を抱えており、彼らにとって今回のバンシコの判断は手近な参照点になる。利下げを止めるという決定そのものが、市場に向けては規律ある中央銀行というメッセージにもなる。

実質金利を2ポイント残したまま手を止める。バンシコは緩和の最後の一手を、あえて打たずに終えた。

📚 もっと深く知る|関連書籍

このテーマをさらに掘り下げたい人へ。Amazonで関連書籍を探せます。

関連書籍を探す(Amazon)→

本記事はAmazonアソシエイトリンクを含みます。詳細はプライバシーポリシーをご覧ください。

参考リンク

※ 本記事は公開情報をもとにした筆者の解説・私見です。最新の数字・日程・手続きは各国政府や一次情報でご確認ください。引用は最小限とし、出典を明記しています。