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【追記・2026年7月20日】この記事は開幕前に公開したものだ。大会は予定どおり6月11日に開幕し、7月19日の決勝でスペインが延長の末アルゼンチンを1対0で下し、2010年以来2度目の優勝を飾って閉幕した。以下は開幕時点の記事である。

2026年FIFAワールドカップが6月11日、メキシコシティのアステカ・スタジアム(FIFA公式名「メキシコシティ・スタジアム」)で幕を開けた。メキシコは1970年・1986年に続き、史上初の「3回開催国(共催含む)」になる。米国・カナダとの共催のなかで、開幕の舞台はメキシコシティに選ばれた。

開幕式の顔ぶれ

ステージにはアレハンドロ・フェルナンデス、リラ・ダウンス、ベリンダ、ロス・アンヘレス・アスレス、マナが並んだ。コロンビアからはシャキーラとJ・バルビン、ベネズエラからはダニー・オーシャンが加わり、大陸を横断した顔ぶれになった。実際の開幕式では、さらにアンドレア・ボチェッリやTylaらも加わった。公式ソング「Dai Dai」をシャキーラとナイジェリアのバーナ・ボーイが歌った演出は、ラテンアメリカとアフリカの音楽的な近さを見せる試みでもあった。モンテレイは山並みに囲まれた近代的なスタジアムで、グループリーグ3試合と決勝トーナメント(ラウンド32)1試合を受け持つ。

「3度目」が持つ意味

1970年大会はメキシコが招致でアルゼンチンを破って開催権を獲得し(1964年10月8日、東京でのFIFA総会の投票で56対32。異なる票数を記す資料もある)、1986年大会はコロンビアの財政難による返上を受けてメキシコが代替開催を引き受けた経緯がある。今回は正式な招致プロセスを経た共催で、背景が異なる。アステカ・スタジアムは今大会をもって、世界で最も多くのW杯公式試合を経験したスタジアムのひとつになった。ただしメキシコシティでは大会直前まで、交通渋滞・治安・観戦チケットの高騰への懸念が報じられており、「祝祭モード」と市民生活のあいだには温度差がある。

サッカーの政治性

今大会ではアルゼンチン・ブラジルが常連の優勝候補に挙げられ、開催国メキシコへの期待も高い。2026年の中南米は大統領選が複数国で重なり、経済的な不確実性も抱える。そのなかでのW杯開幕は、大陸全体に祝祭の空気を届けると同時に、格差・移民・ホスト国の治安といった課題を国際社会の視野に改めて引き込む機会でもある。スポーツは不安を一時的に覆う「覆い」にも、社会的アイデンティティを束ねる「触媒」にもなる。その両面が、今回の開幕式の演出にも映っている。

サッカーは忘却を売る最安値の娯楽であり、同時に、誰も否定できない共通言語でもある。

参考リンク

※ 本記事は公開情報をもとにした筆者の解説・私見です。最新の数字・日程・手続きは各国政府や一次情報でご確認ください。引用は最小限とし、出典を明記しています。