台湾を少し甘く見ていた。近いし手軽、くらいの気持ちで行ったら、完全にやられた。飯はうまい、人は優しい。思っていた以上どころか、想像の外側にある旅だった。
今回は3日間の旅。台北をベースに、基隆、九份、十份と巡った。
基隆・正濱漁港——この景色、反則じゃないですか
台北から電車で30分ほどの港町、基隆。その中にある「正濱漁港」に行きたくてたまらなかった。
港沿いに並ぶカラフルな建物と漁船。これが台湾の漁港の景色?おしゃれすぎない?もともとはただの古い港町だったのが、建物をカラフルに塗り直してからインスタで一気に有名になったらしい。でもそういう「映え」の演出感がなく、ちゃんと今も漁師が働いてる生きた港なのがいい。
夕方に来るのが正解だった。夕日が海に反射して、カラフルな建物がさらに映える。しばらくカメラ持ってうろうろしてたら、気づいたら1時間以上経ってた。
近くを歩くと、地元の人が普通に夕飯の準備をしてたり、子供が遊んでたりする。観光地化されてても、ちゃんと生活の匂いがする。そういう場所が好きだ。
基隆夜市
正濱漁港から歩いて行ける基隆廟口夜市は、台湾でも有名な夜市のひとつだ。提灯に照らされた通りに屋台がぎっしり並んで、地元の人も観光客も入り混じっている。
魯肉飯、蚵仔煎、魚羹スープ……注文しすぎてお腹がはちきれそうになった。台湾の食事は何を食べても外れがなく、値段も安い。これで満足しないはずがない。
九份
基隆から車で30分ほどの九份。かつて金鉱の町として栄え、映画『悲情城市』の舞台にもなった場所だ。石段の路地に茶芸館や土産物屋が並び、どこを切り取っても絵になる。
十份・十分瀑布
十份はもともと天燈で有名な町だが、近くにある十分瀑布も見ごたえがある。幅広に広がる滝が緑の岩盤に落ちる様子は「台湾のナイアガラ」とも呼ばれるほどで、訪れる価値があった。
台北・中正記念堂
台北市内の中正記念堂にも寄った。蒋介石を記念して建てられた巨大な建物で、広場がとにかく広い。堂の中には蒋介石の座像があって、衛兵が直立不動で守っている。
台湾の近現代史を少しかじってから行ったので、この像の前に立つといろんなことを考えた。「偉人」と「独裁者」、どちらとも言える人物の巨大な像の前で、観光客がみんな写真を撮ってる。歴史って複雑だ。
十份・天燈——この夜のことは一生忘れない
今回の旅でいちばん楽しみにしていたのが、十份の天燈だった。願い事を書いた灯籠を夜空に放つ、あの体験。
台北からローカル線で山を越えた先にある十份は、もともと炭鉱の町だった。今は天燈と十分瀑布で知られる観光地で、老街には灯籠を販売する店が並んでいる。
真っ暗な夜空に、ひとつ、またひとつと灯籠が上がっていく。最初はポツポツだったのが、時間が経つにつれてどんどん増えていって、気づいたら空が橙色に染まってた。
ツアーだったので色は決められなかったけれど、案内してくれた女性スタッフが灯籠の色ごとの意味を丁寧に説明してくれた。場所や店によって意味が違うこともあるらしいが、だいたいこんな感じらしい。
灯籠が夜空に消えていく瞬間、何か大事なものを手放すような、でも解放されるような、不思議な気持ちになった。これは実際に見ないとわからない感覚だと思う。
とにかく、人が優しい
台湾で印象に残ったのは、景色や食べ物だけじゃない。とにかく人が優しかった。
移動はすべてUberを使った。アプリで呼ぶだけで来てくれるし、言葉が通じなくても目的地まで迷わず連れて行ってくれる。車もテスラをはじめ最新モデルが多くて、日本より全然進んでいる印象だった。
雨が降り出したとき、Uberの運転手さんが傘を2本もくれた。「持っていけ」と笑いながら。受け取るまで出発しようとしなかった。
地下街の地図を眺めていたら、通りがかった地元の人が日本語で声をかけてくれた。わざわざ立ち止まって話しかけてくれる。観光客慣れしているというより、ただ純粋に親切にしてくれている感じがした。
景色以上に、人の温かさが心に残る旅だった。
また来たい、すぐ来たい
3日間じゃ全然足りなかった。台南、高雄、花蓮、太魯閣……行けてないところだらけ。日本から近いのに、これほど「外国」を感じられる場所ってなかなかない。
次は1週間、できれば原付かレンタルバイクで走り回りたい。台湾一周って、できるのかな。絶対できる気がする。