バランタイン(Ballantine's)はスコッチ・ブレンデッドの代表格として有名だが、ブランド本体が「シングルモルト」も出しているのは意外と知られていない。家の棚に21年とGlenburgie 15年シングルモルトを並べて飲むと、ブランドの設計図がきれいに見える。
21年はブレンディングの完成形。Glenburgie 15年はその21年のキーモルト(骨格となるシングルモルト)を単独で出したもの。「全体の音」と「主旋律」を別々に聴くようなものだ。
バランタイン 21年 — 17年からもう一段上の世界
バランタインの定番は12年・17年・21年・30年と続く。21年は17年の延長線上にある一本だが、輪郭の鋭さよりも滑らかさと余韻を取る方向に振っている。アルコール度数40%。
ノーズはハチミツ、ドライフルーツ、奥にバニラとオークの落ち着いた木質感。口に含むとシェリーカスク由来のレーズンとオレンジマーマレード、後半に乾いたピートのほのかな煙。フィニッシュは長く、樽香がゆっくり消えていく。17年でも十分立派だが、21年はもう一段「角の取れた」音色になる。
Glenburgie 15年 — バランタインの土台を裸で聴く
Glenburgie蒸溜所はスペイサイド地方、エルギン近郊。設立は1810年で、現在もバランタインのブレンドの最重要キーモルトのひとつとして、生産能力の大半が自社ブレンド用に回されている、いわば「縁の下の力持ち」蒸溜所だ。
シングルモルトとしての15年はノーズに赤リンゴ、洋ナシ、カシスのようなベリー。蜂蜜の柔らかな甘みと、後半にはわずかに花のような香り。アルコール度数40%で、最近のシングルモルトの中ではマイルド寄り。21年を飲んでから Glenburgie を飲むと、「ああ、あの果実と蜂蜜の中軸はこのモルトから来ていたのか」と納得できる。逆順だと21年のブレンディングの妙味が際立つ。
ブレンデッドはモルトとグレーンを掛け合わせる「総合芸術」と言われるが、その素材の正体を知ってからもう一度全体を飲み直すと、ブレンディングの設計図が透けて見える。バランタインは2本セットで楽しむと格段に面白くなる。
バランタインとペルノ・リカール
ジョージ・バランタイン(1809–1891)
1827年エディンバラの食料品店から始まり、後にウイスキーのブレンディングに転じた。1895年に英王室御用達。現在はフランスのペルノ・リカール傘下。
キーモルト体系
バランタインのブレンドの中核はGlenburgie(スペイサイド)とMiltonduff(スペイサイド)、加えてGlentauchersといった蒸溜所のモルト。これらは The Ballantine's Single Malt Series としても発売されている。
21年と17年の違い
17年はキーモルトの個性をくっきり残す方向、21年はそれをさらに長熟して角を取り、樽香と熟成感を前面に出した構成。21年はバランタイン家の高級ラインの定番。
両方ともAmazon.co.jpで入手可能。21年は並行輸入が中心で価格変動が大きい。