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家の酒棚にずっと残っている日本のブレンデッドが3本ある。サントリー 角瓶ニッカ Session(奏楽)、そしてNikka Frontier。値段帯も生まれた年代もバラバラだが、いずれも「日本のブレンデッドが今どこに立っているか」を写し取る一本だ。

シングルモルトと比べてブレンデッドは「無個性」と扱われがちだが、実際は使う原酒の構成と度数の置き方で表情が大きく変わる。3本を並べてみると、その違いがよく見える。

サントリー 角瓶 — ハイボールの定番、80年以上現役

サントリー 角瓶 700ml
サントリー 角瓶。1937年発売のロングセラー、亀甲模様のスクエアボトル。

角瓶は1937年発売、サントリー最初のホワイトラベル。亀甲模様のボトルがそのままアイコンになり、80年以上ハイボールのデフォルトとして居続けている。山崎・白州のモルト原酒に知多のグレーン原酒を合わせた構成と公開されていて、原酒の調達構造の中では、いまの日本の家庭用ブレンデッドの「ベース」と言っていい。

味は素直に甘い。ノーズはバニラとほのかな蜂蜜、口当たりは丸く、フィニッシュにじんわり樽の香り。ストレートで飲むと薄さが顔を出すが、ロックで薄めればちょうど良く、ハイボールにすれば角の立ったキャラクターが食事に向く。我が家では揚げ物・焼き鳥の夜の定番だ。

ニッカ Session(奏楽) — モルト主体、世界の樽を寄せ集めた一本

ニッカ Session 奏楽
ニッカ Session 奏楽。深い青ボトルにゴールドの筆書き。

Session(セッション)はニッカが2020年に発売した、ニッカらしさを再構成したブレンデッド・モルト。日本(余市・宮城峡)に加え、ニッカが所有するベン・ネヴィス蒸溜所のスコッチ原酒を絡めた、「グレーン抜き/世界のモルト主体」の構成が特徴。アルコール度数は43%。

ノーズはオレンジマーマレード、麦芽の柔らかさ、奥にうっすらピート。口に含むとリンゴと蜂蜜、後半に余市らしい潮の気配。フィニッシュは中程度で、樽由来のバニラとほのかな煙が残る。角瓶のような直球の甘さではなく、もう一段複雑。ハイボールよりロックや少量加水で飲んだ方が個性が立つ。

Nikka Frontier — 2024年秋発売、新しい日本のブレンデッド像

Nikka Frontier
Nikka Frontier。鮮やかなオレンジの化粧箱、500ml 48度。

Frontierは2024年秋にニッカから登場したブレンデッド。モルト比率51%以上、余市のピーテッド原酒を骨格に据え、48度というやや高めの度数で組み上げられている。500ml ボトル中心の流通という思い切ったサイズ展開も含めて、「次の世代の日本のブレンデッド」として企画された一本だ。

ノーズはリンゴの甘さ、オレンジマーマレード、バニラ、余市由来のスモーク。Session よりピートのレイヤーが厚く、グレーンが少ない分のシャープさがある。口当たりは48度らしく芯があり、ストレートでもロックでも崩れない。ハイボールにしてもボディが残るのが特徴で、こちらは「飲み応えのあるハイボール」を作りたいときに向く。

角瓶は普段の食卓、Session は週末の延長線、Frontier は腰を据えて飲みたい夜——という棚での住み分けが自然と決まった。日本のブレンデッドはここ数年で確実にレンジが広がっている。

3本の位置付けと背景

角瓶(サントリー、1937年〜)

サントリー山崎蒸溜所から派生した、日本の家庭用ブレンデッドの原型。長年の流通量とハイボール文化の浸透で、いまも日本市場で最も売れているウイスキーのひとつ。

Session 奏楽(ニッカ、2020年)

余市・宮城峡(日本)に加え、ニッカが所有するベン・ネヴィス蒸溜所(ハイランド)のスコッチモルトを絡めた、ブレンデッド・モルト。グレーンウイスキーを使わない構成で、43度。

Frontier(ニッカ、2024年)

モルト比率51%以上、余市ピーテッド主体の48度ブレンデッド。500ml中心の容量設計と、若い飲み手を意識したパッケージで「次世代」の位置付け。

3本ともAmazon.co.jpで入手可能。家の棚に並べておくと使い分けが効く。

参考リソース

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