うちの棚に置いてある特別なボトルが John Walker & Sons Celebratory Blend。ジョニーウォーカー(ジョン・ウォーカー社)の創業200周年を記念して2020年にリリースされた限定ブレンデッドだ。
1820年、スコットランド・キルマーノックの食料品店から始まったジョン・ウォーカー社は、ブレンディングの工業化と国際展開で20世紀のスコッチ業界を牽引した。Celebratory Blend は、創業者の孫にあたるアレクサンダー・ウォーカーが1860年代に作っていた "Old Highland" の系譜を再現しようとした、いわばブランド史上最も古い味わいに敬意を表する一本。
味の方向性 — 19世紀のブレンドを参照
マスターブレンダーのジム・ベヴァリッジが、1860年代の生産記録を基にレシピを再構成したと公表されている。アルコール度数51%。現代のジョニーウォーカー定番(レッド、ブラック、グリーン、ブルー)よりも度数が高く、19世紀のスコッチに近い「樽の力強さ」を残した方向性。
ノーズは熟したオレンジマーマレード、シェリー樽の濃厚さ、ナッツ、後半にうっすら泥炭。口に含むと51度らしく密度の高い甘み、ドライフィグ、フィニッシュは長く、樽香と微かなスモークが残る。ストレートでは強さが顔を出すので、少量加水するとアロマが開きやすい。
「飲むブランド史」としての一本
ジョニーウォーカーは現在ディアジオ傘下のグローバルブランドだが、出自はスコットランドの一地方都市の食料品店である。Celebratory Blend は、そのブランドが200年で歩んできた距離を一本のグラスに圧縮しようとする試みで、テイスティングそのものよりも「19世紀のスコッチに少しだけ近づく」という体験設計の側面が強い。
限定品は飲むより置いておきたくなる、という葛藤がいつもあるが、Celebratory Blend は開けて飲んでこそ意味がある一本。1820年から積み上がった200年の時間を、グラスごと体験するための装置として置いている。
ジョン・ウォーカー社と Celebratory Blend
1820年、キルマーノックの食料品店から
創業者ジョン・ウォーカーがスコットランド南西部キルマーノックで食料品店を開業。ウイスキーのブレンディングに転じたのは2代目アレクサンダーの代で、19世紀後半に世界市場へ展開した。「黒・赤・緑・青」のラベル体系は20世紀後半に整理されたもの。
200周年とCelebratory Blend
2020年、創業200周年にあわせて発売。マスターブレンダーのジム・ベヴァリッジが、19世紀のレシピノートを参照して構成した51%ブレンデッド。化粧箱はキルマーノック旧市街のヴィクトリア期の風景を描いた折り紙風の特別装。
現在の所有形態
ジョン・ウォーカー社は1925年にDCL(後のディアジオの源流)と統合。現在は世界最大の酒類企業ディアジオ(Diageo)傘下のフラッグシップブランド。
ギフトボックス入りで Amazon.co.jp で入手可能。流通量は限定的。