← 一覧に戻る

ジャパニーズウイスキーの歴史を語る上で外せない一本が ニッカ 竹鶴 ピュアモルト。ニッカウヰスキー創業者・竹鶴政孝の名を冠した銘柄で、同社が誇る2つの蒸溜所——余市と宮城峡——のモルト原酒を組み合わせて作られる、純粋なブレンデッドモルトだ。

2020年に年数表記が外れて NV(ノン・ヴィンテージ)として再リリースされたが、現行品もブランドの軸を守った設計で、家の定番ウイスキーとして十分機能する一本。

ニッカ 竹鶴 ピュアモルト
ニッカ 竹鶴 ピュアモルト。竹を思わせる和紙風ラベルに筆書きの「竹鶴」、化粧箱のグラデーションが印象的。

余市×宮城峡が交差する一本

竹鶴政孝が築いた2つの蒸溜所は性格が対照的。余市は北海道の冷涼地・石炭直火加熱・ヘビリーピーテッドが特徴で、力強く重厚な原酒を作る。宮城峡は宮城の山間部・スチーム加熱・ノンピート寄りで、フルーティで繊細な原酒を作る。「竹鶴」はこの2系統のモルトを掛け合わせて、ニッカが目指す「日本らしいウイスキー」の理想形を描こうとした、ブランドの哲学を体現する一本。アルコール度数43%。

ノーズはまずシェリー樽由来のドライフルーツ、続いて余市らしい潮の気配と宮城峡のフルーティな麦芽、奥にうっすらピート。口に含むとはちみつとカラメルの甘みのあとに、樽香とほのかな煙。フィニッシュは中程度で、両蒸溜所の個性が並走する。43%でストレートでも疲れず、ロックでもハイボールでも崩れないバランスの良さ。

「竹鶴ロス」を超えて

長らく親しまれた竹鶴17年・21年・25年が原酒不足で2020年に終売となり、年数表記の現行 NV のみに整理された。一時は「竹鶴ロス」とも呼ばれたが、NV 自体は決して妥協された一本ではなく、むしろ「竹鶴という設計思想を、いま入手可能な原酒で再構築した」というメッセージが読み取れる仕上がり。家の棚に置いておくと、日本のウイスキー史と現在地が同時に見える。

「竹鶴」というラベルそのものが、日本のウイスキーをスコットランドに留学して学んだ一人の男の名であり、同じ国で一から始める覚悟の名でもある。グラスの中身を口に運ぶとき、その重さがほんの少し乗る。

竹鶴政孝とニッカ

竹鶴政孝(1894–1979)

広島県竹原市生まれ。1918年にスコットランドに渡りグラスゴー大学で化学を学び、ハイランドのキャンベルタウンとロングモーンでウイスキー製造を実地で学んだ。帰国後、1934年に北海道余市に大日本果汁(後のニッカウヰスキー)を設立。ジャパニーズウイスキーの父と呼ばれる。

2つの蒸溜所体制

余市(1934年)は北海道、宮城峡(1969年)は宮城県。前者は石炭直火・ヘビリーピート寄り、後者はスチーム加熱・フルーティな麦芽。竹鶴政孝が「2つの異なる蒸溜所のモルトを掛け合わせるべき」と信じてこの体制を作った。

年数表記の終売

2020年、原酒不足で17年・21年・25年が終売。現行は NV(ノン・ヴィンテージ)のみ。NV は両蒸溜所のモルトを使った構成を維持しており、ブランド哲学そのものは続いている。

国内正規流通でAmazon.co.jpで安定的に入手可能。

参考リソース

※ 本記事はAmazonアソシエイトリンクを含みます。詳細はプライバシーポリシーをご覧ください。