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北海道余市の蒸溜所に行った時、ショップの棚を前にして「ここでしか買えない一本を、何にしようか」と長いこと迷っていた。蒸溜所限定ブレンデッド、シングルモルト余市の樽違いカップセット、ニッカ ピュアモルト Red&Black の復刻——どれも欲しい。決めかねていた時に、店員さんが奥から新しい商品を取り出してきて、目の前のディスプレイに並べはじめた。それが ニッカ 鶴(NIKKA WHISKY 鶴) だった。

デカンタ型のクリスタルボトルに金色の「鶴」の筆書き、象牙色の重厚な化粧箱。明らかに他のボトルとは格が違う、見るからに威厳のある仕上がり。値段も正直、定価でかなり高い。でも、どこかで「鶴はニッカのブレンデッドの最高峰」と聞いた記憶があって、迷いが急にひっくり返った。「いま目の前で陳列されたばかりの一本を、ここで通り過ぎたら一生後悔する」——そう思って、思い切ってこれを買って帰った。

ニッカ 鶴
ニッカ 鶴。デカンタ型クリスタルボトルに金色の「鶴」、象牙色の化粧箱に「TSURU」の刻印。

長期熟成のモルト&グレーンを重ねた一本

「鶴」のレシピは公開部分が少なく、長期熟成原酒(特にスペイン産シェリーで長期熟成したものを含む)を絡めた構成、とされる。アルコール度数43%。

ノーズはまずシェリー由来のレーズン・ドライフィグ、続いて熟したオレンジ、奥にミルクチョコレートと樽のスパイス。口に含むとリッチでねっとりした甘み、後半に余市らしい潮の気配と微かなピート。フィニッシュは長く、長期熟成の重さが舌に残る。43%でもストレートで飲めて、ロックでは果実が一段開く。

蒸溜所で買う、という体験

同じウイスキーでも、酒販店で買うのと蒸溜所のショップで買うのとでは「味」が変わる。蒸溜所の発酵棟・ポットスチル・熟成庫を見たあとに、ショップで現物を持つ瞬間は、ボトルの中身に対する想像力の解像度が違う。鶴に限らず、余市のショップに並ぶウイスキーは、どれも「ここで作られているもの」を持ち帰るという特別な意味を帯びる。

通販で同じ銘柄を買うこともできるが、蒸溜所で買って手提げ袋で持ち帰った一本は、家で開ける時の儀式性が違う。鶴のクリスタルボトルは、その儀式に正しく応えるデザインだ。

ニッカ 鶴と余市蒸溜所

「鶴」というブランド

ニッカウヰスキーが長年プレミアム帯のブレンデッドとして展開してきた銘柄。長期熟成のモルト・グレーンを使った構成で、伝統的にデカンタ型クリスタルボトルが定番。アルコール度数43%。

余市蒸溜所

1934年稼働、ニッカ創業者の竹鶴政孝が設立した蒸溜所。北海道の冷涼な気候と石炭直火加熱の伝統的なポットスチルが特徴。スコットランド型のヘビリーピーテッド原酒が作れる、世界的に見ても貴重な蒸溜所。

蒸溜所限定との違い

余市蒸溜所のショップでは「鶴」のほかに「余市蒸溜所限定 ブレンデッドウイスキー」(700ml 40%)も売られている。ボトルの形状や箱が異なり、構成も別物なので、混同に注意。

正規品はAmazon.co.jpで入手可能。蒸溜所限定品との混在に注意。

参考リソース

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