2025年1月のパナマ旅行で、現地のスーパー(El Rey)の酒コーナーをぶらついていて手に取ったのが、このRon Abuelo Añejo Reserva Especial。スーツケースに入れやすい375mlの小瓶で、たしか日本円で1,500円もしなかったと思う。パナマでは小学生でも知っているくらい一般的なラムで、「アブエロ=おじいちゃん」という名前のとおり、地元の家庭酒として完全に定着している。
製造元のVarela Hermanos S.A.は1908年創業、パナマ西部のチリキ県・ペセ(Pesé)に拠点を置くラム・酒類メーカー。創業者ドン・ホセ・バレラはスペイン移民で、自家のサトウキビ農園で蒸留所を立ち上げたのが始まり。100年以上にわたって家族経営を続けている。パナマ1記事でも触れたが、パナマ運河だけがパナマではなく、内陸部にはこういう中規模の家族企業が地味に経済を回している。
レセルバ・エスペシャルの飲み口
Reserva Especialは同社のフラグシップに最も近い位置のスタンダードボトル。アメリカンオーク樽(旧バーボン樽)で複数年熟成させたソレラ系ブレンドで、色は深い琥珀色。ノーズはバニラ、トフィー、わずかにバナナのような熱帯感。口に含むと甘さと樽の渋みのバランスがよく、後味にメープルシロップ的な余韻が残る。
パナマ式の楽しみ方はやっぱりロックか、コークで割ってロン・コーラ(Ron-Cola)。砂糖は加えず、ライムを絞るだけで急に風景が変わる。冬の日本で飲むには、温めたミルクに少し垂らしてホットラムにするのもいい。
375mlサイズは中米・カリブの空港免税店でもよく見かけるので、もしパナマやカリブを通る予定があれば、定番土産としてかなり外しにくい一本。750mlは家飲みのレギュラーボトル候補にしてもいいくらい価格と品質のバランスが良い。
パナマと言えば運河、というのは間違いではないけれど、運河の南北で180万人ほどが暮らしていて、彼らの晩酌の手元にあるのがこのアブエロだ。観光地のラベルではなく、生活のラベル——それを持って帰れるのが、現地で酒を買う一番の価値だと思う。
Ron Abuelo 背景情報
Varela Hermanos S.A.
1908年創業、パナマ・エレラ県ペセに本拠を置く家族経営の酒類メーカー(注:所在はエレラ県ペセが正確)。サトウキビ栽培から蒸留・熟成・瓶詰めまでを自社で完結させている数少ないラム会社のひとつ。
パナマのラム文化
パナマは中米地峡に位置し、サトウキビ栽培に適した熱帯気候。同じ中米でもニカラグアの「フロル・デ・カーニャ」、グアテマラの「サカパ」と並んで、Ron Abueloはパナマを代表するラムとして国外でも評価が高い。
Añejoの意味
スペイン語で「熟成」の意味。中南米のラムでは年数表記より「Añejo」「Reserva」「Gran Reserva」といった等級表記が一般的。Reserva Especialはアブエロのスタンダード上位グレード。
記事で紹介した Reserva Especial(Añejo グレード) の375ml小瓶は amazon.co.jp での流通が限定的。同シリーズの7年熟成版(Añejo 上位の代表ボトル)が在庫安定でおすすめ。100年以上前にスペイン移民が立ち上げたパナマの家族企業、Varela Hermanos のラムを日本で味わえる。