コスタリカには脳卒中患者のための長期リハビリテーション施設が不足している。多くの患者が退院後、自宅で寝たきり状態になってしまうという現実がある。
装具が手に入るまでの問題
勤務していた診療所に来院した脳卒中患者は、発症から日が浅く、短下肢装具があれば自力歩行が可能になると見込まれていた。しかしコスタリカの公的保険では、装具を手に入れるまでに膨大な時間がかかる。正式な装具が届くのは発症から8ヶ月後になるという。その間、患者はどうすれば良いのか。
そこで考えたのが簡易装具の自作だった。
手作りの装具
材料費は合計約8,000円。工夫したのは材料の組み合わせだ。
- 支柱部分:特別発注の金属支柱
- 足底部:切り取ったサンダル
- 下腿部(すね):野球用肘プロテクター
正式な義肢装具とは程遠いが、歩行練習を始めるには十分な機能を持つ装具ができあがった。
患者の変化
この簡易装具を使って歩行練習を続けた結果、患者は自立歩行を達成し、活動的な生活を取り戻すことができた。
正式な装具が届くまでの8ヶ月間、何もできないでいるのか、できることをやるのか。その差は小さいようで、患者の人生を大きく変える。コスタリカで働いて、そのことを強く実感した。
コスタリカの医療制度は整っている部分もあるが、義肢装具に関してはまだ課題が多い。でも、その隙間を埋めようとしている人たちがいる。それを目の当たりにできたことが、この仕事をコスタリカでやった一番の収穫だったかもしれない。