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うちの棚にあるブキャナンズ デラックス 12年(Buchanan's Deluxe 12)は、日本に留学しているベリーズの友人がわざわざ持ってきてくれた一本だ。「ベリーズで愛飲していたお気に入りなんだ」と渡してくれて、ベリーズか経由地のアメリカで買って、日本までスーツケースで運んできてくれたらしい。感謝しかない。

緑色のボトルに赤いキャップ。胸元には創業者ジェームズ・ブキャナン(James Buchanan)の肖像。一度見たら忘れない、ラテンアメリカのリカーストアでは必ず棚の良い場所に並んでいる象徴的なボトルだ。

ブキャナンズ デラックス 12年
ベリーズの友人が日本まで持ってきてくれたブキャナンズ 12年。緑のボトルと赤キャップ、ブキャナンの肖像が目印。

ラテンアメリカで愛される「贈答スコッチ」

ブキャナンズはイギリスのスピリッツ大手ディアジオ(Diageo)傘下のブランド。創業は1884年、ロンドンでジェームズ・ブキャナンがブレンディング会社を立ち上げたのが始まりだ。ヴィクトリア女王・エドワード7世の時代から英王室御用達(Royal Warrant)の歴史を持つ、れっきとしたスコッチの老舗である。

面白いのは、英国本国よりも中南米で圧倒的に売れていること。ディアジオのレポートによれば、ブキャナンズはメキシコやコロンビアで売上の大半を稼いでおり、ラテンアメリカは世界トップ級の消費地になっている。「友人を訪ねる時に手土産として持っていくスコッチ」という文化的ポジションができあがっていて、現地のスーパーや空港免税店では必ず大きく場所を取られている。

ベリーズはイギリス連邦の旧領(旧英領ホンジュラス)で、メキシコやグアテマラと国境を接する。公用語は英語だが食卓や流通はラテンアメリカ圏と地続きで、スコッチ文化と中南米の贈答文化が自然に合流している。「自分のお気に入りを、日本に住んでる友人にも飲ませたかった」と笑って渡してくれた一本に、その地続きの文化がそのまま詰まっている気がする。

12年もの、ブレンデッドの輪郭

中身はモルトとグレーンを掛け合わせた12年熟成のブレンデッド・スコッチ、アルコール度数40%。スペイサイドのグレンドロナックダルウィニーといったキーモルトが使われていると言われていて、シングルモルトのような鋭さはないが、口当たりはとても滑らかだ。

ノーズはハチミツ、軽いシリアル、ほんのりとシェリー樽由来のドライフルーツ。口に含むとバニラとカラメルの甘み、後半にスペイサイドらしい青リンゴと洋梨。フィニッシュは穏やかで、ピート香はほぼ感じない。ストレートでも飲めるが、ロックや少量加水でちょうどいいバランスになる。中南米では氷をたっぷり入れたグラスで「on the rocks」で出されることが多く、それが一番馴染んだ飲み方かもしれない。

酒は土地の文脈と一緒に飲むものだ、と最近よく思う。ブキャナンズはスコットランドで生まれたが、緑のボトルが一番輝くのはたぶんラテンアメリカの夜の食卓だ。日本のうちの棚に置かれたこの一本にも、ベリーズの友人がスーツケースで運んできた距離と文化的な熱量がちゃんと乗っている。

ブキャナンズ 背景情報

創業者ジェームズ・ブキャナン

1849年カナダ生まれ、スコットランド系。1884年ロンドンでブレンダーとして独立。ヴィクトリア女王・エドワード7世から王室御用達を授与され、後にウーラヴィントン男爵として叙爵された。緑のボトルと赤いラベルは初期から続くトレードマーク。

ディアジオの中南米戦略

1986年からの企業統合を経て現在はディアジオ傘下。同社はブキャナンズをラテンアメリカ向けの主力スコッチとして位置付けており、メキシコ・コロンビア・米国ヒスパニック市場でJohnnie Walker と肩を並べる存在感を持つ。「父の日」「クリスマス」など贈答需要が極めて高い。

主要レンジ

「Deluxe 12年」が定番。上位に「Master」「Special Reserve 18年」「Red Seal 21年」「Buchanan's Two Souls」など。アルコール度数はいずれも40%。日本では並行輸入で流通しており、12年は2,500〜3,500円前後で入手可能。

日本では並行輸入品が中心。中南米土産のあの緑のボトルを家でも開けたい人に。

参考リソース

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